校内支援センター設置拡大を 不登校対応で報告書
2面記事文科省
不登校への対応について協議してきた文科省の協力者会議が、教室とは別の場所で学習指導や相談支援を実施する「校内教育支援センター」の設置を促すことなどを盛り込んだ報告書をまとめた。学校に行きづらさを感じている児童・生徒への早期の支援を充実する。また、教育委員会がオンラインで対応する「不登校児童生徒支援センター」(仮称)の設置も提案した。
5月23日に開いた協力者会議で、大筋で合意し、座長に一任された。文科省は意見を踏まえた上で公表する。
令和2年度の問題行動調査では、小・中学校の不登校児童・生徒は19万6127人で調査開始以来、最も多かった。そのうち、学校内外のいずれの機関でも相談や指導を受けていないのは34%に当たる6万7294人にも上った。児童・生徒と保護者へのアンケート結果からは「最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけ」について「先生のこと」「身体の不調」「友達のこと」がそれぞれ3割近くを占めるなど、不登校の背景が多岐にわたっていた。
こうした現状を踏まえて報告書は、
・今後の重点施策について誰一人取り残さない学校づくり
・困難を抱える児童・生徒の支援ニーズの早期把握
・不登校児童・生徒への多様な教育機会の確保
・社会的自立を目指した中長期的支援
―の観点からまとめた。
「校内教育支援センター」は、退職教員やスクールカウンセラーが教室に行きづらい児童・生徒の相談などに乗る場所で、一部の学校が設けている。
報告書は「不登校の兆候がある早期段階では、学校内に安心して心を落ち着ける場所があり、児童・生徒のペースで個別の学習支援や相談支援を行うことができれば、学習意欲の回復も期待できる」などとして、教育委員会主導の下で設置を拡大することを求めた。
既に不登校になっている児童・生徒への支援については、オンラインを活用した学習支援や体験活動を行っている、さいたま市教委の取り組みを紹介。こうしたアウトリーチ型支援を一括して行う「不登校児童生徒支援センター」は画期的な取り組みだと評価し、全国展開も視野に設置を拡大したい考えを示した。
児童・生徒に応じた柔軟な教育課程を編成できる「不登校特例校」を増やすことも掲げた。不登校特例校は、教育機会確保法で設置が努力義務となったが、今年4月時点では全国で21校にとどまる。「今後も不登校特例校の設置を推進していく必要がある」としている。