日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

人間教育の道 40の提言

17面記事

書評

梶田 叡一 著
理念と実践のポイント、平易に説く

 著者は、「人間教育」=人間的な成長・成熟を実現するための教育を一貫して提唱してきた。教育の最終的な目標は、一人の人間として自立し、世の中を生きる力と自らの人生を生きる力とを身に付けること。そして、その成果は、主体的に、深く豊かに生きることができるかどうかで確認されることになる。この「人間教育」こそが、まさに教育の歩むべき本道であるとの考えからだ。
 「人間教育」は、著者の若い頃からの関心事だった。とりわけ30歳の時にシカゴ大学のブルーム教授に出会って以降、「人間教育」に関する課題意識が一層強化され、ブルーム理論を基礎に教育実践研究を進めてきた全国各地の同志と切磋琢磨してきた。この「人間教育」の理念は、著者が長年、中央教育審議会等の中枢で教育改革に携わったことで、教員養成や学習指導要領・指導要録の改訂にも反映されていった。
 本書は、「人間教育」の理念と実践に直接的に関わるものを選び、

 ・自分なりの花を咲かす人に
 ・自己の主になるために
 ・内面世界へのこだわりを
 ・基盤となる言葉の力を
 ・真の道徳性を
 ・日本の伝統・文化を学ぶ
 ・育成すべき不易の人間力とは

 ―などのポイントを40の提言としてまとめ収録している。平易に説かれており、教育関係者にとどまらず、教育や人間的成長という問題に関心を持つ一般の人たちに広く読んでもらいたい。
(2970円 金子書房)
(矩)

書評

連載