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児童の読書力を形成する読書日記 読書指導法の改善と個の変容を目指して

16面記事

書評

細 恵子 著
学年に応じた実践の手引を提示

 国語科で身に付いたはずの読む力は、日常の読書生活に生かされているか。著者は、その課題から読書指導法の改善を研究し「読書日記」を提言。
 まず、読書力を曖昧に捉えがちな点が課題と指摘。読書指導で身に付けさせたい「読書力」を読書技術と意欲・態度、読書習慣も含む力として定義し、大変参考となる。
 次に、読書力と「書く・話す・聞く活動」との関連付けを図ること、さらに指導時間を確保することも課題とし、その解決の取り組みとして「読書日記」の実践が示される。
 読書日記は、本を読んだ感想や考え等を記すが、自由度は高く、1冊読み終えてからとか、書く分量の指定などの決まりはない。とはいえ、学年に応じた手引書が準備されているので見通しが持ちやすい。目標を立てて読書活動をすることや、友達と本について話し合うこともできる。国語科の学習とも関連付けができ、個人的には、「自分を見つめ直す」ことが大きな魅力だと思った。実際の記述例から、自己の変容に気付いたり、読書行為の意義を再発見したりしていることが伝わる。読書日記には読書の価値に気付き、資質・能力を高められるように意図した指導者からのコメントを記すが、そのヒントも示されている。
 今も多くの実践者と勉強・研鑽し続ける著者の姿勢が、このような優れた実践書を生むのだと敬服した。
(2750円 溪水社)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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