「教職コース」設置の大阪府立桜和高校が開校
2面記事大阪市立の3高校を統合して今春、開設された大阪府立桜和高校の開校式・入学式
全大阪市立高が府に移管
将来は教員として働くことに関心を持つ生徒に応じた教育課程を組む高校が各地に広がりを見せている。本年度は大阪府で、全ての大阪市立高校の設置者が大阪府に移るとともに、3校の市立高校は統合して、教職教育コースを持つ府立桜和高校が発足した。8日に開校式と入学式があった。
昨年度末の時点で大阪市立高校は21校あった。このうち、西高校、南高校、扇町総合高校が統合して、府立桜和高校となった。本年度は、桜和高校の1期生となった1年生が西高校、南高校、扇町総合高校の2、3年生と同じ校舎で学ぶ。
桜和高校には、教育文理学科を置いた。1学年の定員は240人。普通科系で、大学進学を目指す学科とした。この中に、大阪府では初めてとなる教職教育コースを設けた。
1年生では、コース分けを行わず、全学級が同じ教科を履修する。
2年生からは、「国際文化コース」「教職教育コース」「理数情報コース」の3コースに分かれる。教職教育コースでは、2年生で「教育入門」、3年生では「教育体験」と名付けた科目が行われる予定。
将来の進路としては、教員やカウンセラーなど教育に関して学んだことが生かせる分野を目指すとしている。大阪教育大学などと連携し、大学教員による授業を設けたり、大学生・大学院生・留学生と交流したりする機会を設ける。
同高校は、教育目標を「高い志を持ち、次世代の大阪を創生する人材の育成」として、高大連携、地域連携、探究学習にも力を入れていく。国際交流に力を入れていた西高校の流れをくみ、アメリカやオーストラリアの高校3校とも姉妹校になり、今後交流していく。
入学式の式辞で、川口伊佐夫校長は、「皆さんの中にある学び、探究するためのエネルギーは本来、自身の志や信念から生み出されるもの」と1期生に対する期待を述べた。
将来の職業として教員を考える生徒のための教育課程を設けている公立高校は奈良、香川、愛知、広島などに先例がある。
大阪市立高校の移管
松井一郎市長が令和元年5月の施政方針演説で、「市立の高校は大阪府に移管する」と表明。大阪府・市のプロジェクトチームで検討を進め、今春には全ての市立高校が府立に移るとともに、統廃合も行った。移管前から大阪市立の高校は、大阪市外の府民も受験できた。
府への移管について吉村洋文知事は、市立高校について、「定員割れがずっと続くような高校も多かった。また、教員の人事においても、元々数が多くないために固定化し、教育的観点からうまくローテーションを組むというのが十分ではなかった」(令和2年11月18日)との認識を示している。