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就学支援がよくわかる本 行き届いた就学援助・生活保護・就学支援を進めるために

12面記事

書評

学校事務ベーシック1
現代学校事務研究会 監修
川崎 雅和・栁澤 清香 著
貧困家庭の子どもに学校ができる支援

 「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が成立したのは平成25年。その後の一部改正や新旧「子供の貧困対策に関する大綱」策定で、学校は「苦しい状況にある子供たち」の教育支援の拠点であることが要請されている。
 本書は、貧困状態にある家庭で暮らす子どもを前に、事務職員の立場でできる支援策を提起した。
 必須の知識としての「就学支援制度の成り立ちとその歴史」「生活保護による就学支援」「就学援助制度の概要」「学校における就学援助事務」「特別支援教育就学奨励制度」などを解説。「学校における就学援助事務の実践例」を提示し、学校長に認定権を委ねる京都市などの実践を紹介しつつ「就学支援制度の改善・改革」で、今後の道筋を提案した。
 事務職員の根気強い広報・発信、保護者に寄り添う姿勢によって制度を利用する保護者の心理的ハードルが下がり、事務職員が関わることで、申請業務が負担となっている教員との分業にもつながる。
 義務教育の無償化は本書を貫く主張の一つだが、さまざまな教育費を保護者が負担する現実がある。就学援助で給付される金額を知り、それを超えない徴収教育費の設定などは、どの学校でも配慮したい事柄だ。
 経済的に厳しい家庭や、特別支援を要する子どもの増加は、近年の学校を取り巻く大きな変化である。「学校事務ベーシック」と銘打つが、本書は教育に携わる人々の「ベーシック」にしてもらいたい。
(1760円 学事出版)
(矢)

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