第15回「小学生『夢をかなえる』作文コンクール」受賞者・受賞校決定
8面記事小学生が思い思いに描いた「夢」
特定非営利活動法人=NPO法人 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(略称:日本FP協会)が主催する、第15回「小学生『夢をかなえる』作文コンクール」(共催:日本教育新聞社、後援:文部科学省、金融庁、全国都道府県教育委員会連合会ほか)の入賞作品が最終審査会を経てこのほど決まった。全国から寄せられた作品総数は3,357作品(学校応募77校、中・低学年522作品、高学年2,835作品)で、厳正な第1次選考(245作品が通過)、第2次選考(各部門21作品が通過)を経て、個人賞として中・低学年部門と高学年部門にそれぞれ最優秀賞1名、優秀賞と奨励賞各10名、学校賞として最優秀学校賞1校と優秀学校賞10校が選ばれた。両部門の最優秀賞の受賞者と審査員長・北俊夫氏(総合初等教育研究所参与)のコメント、また作品の全文とその「ライフプランシート」を掲載する。
ライフプランシートから将来を考えるきっかけに
「小学生『夢をかなえる』作文コンクール」は、NPO法人日本FP協会が、児童に対するキャリア教育の充実を願い、全国の小学生を対象として開催。課題図書『夢をかなえる―FPはライフプランのサポーター―』を読むことで、夢をかなえるためにはライフプランニングが大切であることを理解してもらい、意義深い将来の夢を描いてもらうことを目的としている。
「中・低学年の部」で最優秀賞に輝いたのは、筑波大学附属小学校4年・秋山リリカさんの「安全で快適な電車を追求したい!」夢は鉄道設計士。作品については「電車をよく観察していて、日常生活からの発想であることが良く伝わる」「何気ない日常の通学から見つけた素敵な夢。車内設備をよく観察して書いている」などと評価された。
秋山リリカさんはインタビューで、「ライフプラン通りにいくかどうかはわからないけれど、このライフプランを目標にして努力し続けていきたい」「作文コンクールに応募する前は、安全な鉄道が作りたい、とぼんやり考えていたけれど、作文とライフプランシートを作ることで夢がはっきりし、強くかなえたい気持ちになりました!」と力強いコメントを寄せた。
また、担当教諭・山田誠氏は児童の指導について「じっくり取り組めるように夏休みの課題にし、ライフプランシートは、小学生には難しいので、わからないことは保護者に聞いてもよいことにした。過去に本校で最優秀賞を受賞した児童の作文とライフプランシートを印刷して配り、参考にするように指導した」と語った。
「高学年の部」で最優秀賞に輝いたのは、須賀川市立大森小学校6年・太田璃莉花さんの「夢を実現するために」夢は天文学者。この作品については「導入部分など、表現がよい。冷静さと夢への思いのバランスがよい。40歳で新しい星を発見するというライフプランシートがよかった」と評価された。
太田璃莉花さんは「作文には、自分が今後がんばりたいことを具体的に、また、ライフプランシートには、中学校、高校など未来の生活をイメージできるように書いた」「作文を書いて自分の夢を再認識したことで、今まで以上に勉強に力を入れるようになった」「もうすぐ中学生になるので、数学、理科、英語の学習を中心にがんばり、夢への道を切り開いていきたい」と意気込みを寄せた。
担当教諭・渡部仁史氏は児童の指導について「今回の作文では、夢をもつに至った理由が、心が揺さぶられた経験とともに書かれている。夢への道を歩む中で、困難にぶつかった時に自分を支えるのは、子どもの頃の憧れや感動。作文コンクールに参加した経験が、自らの夢への道を照らしていくものとなるように作文指導を行った」と語った。
主体的に「生きる力」を育む
2020年度から全面実施された新学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」が求められている。
審査員長の北俊夫氏は「調べ学習における情報収集の仕方が変化し、インターネットを利用してより広い情報を得られるようになっている。将来の夢については個人レベルの夢を語る事で留めずに、職に就いた後の社会貢献についても考えられている。主体的によく取り組まれている」とコンクールの総括をした。
個人賞
中・低学年の部 最優秀賞
安全で快適な電車を追求したい!
東京都 筑波大学附属小学校 4年 秋山 リリカ
私は毎日、私鉄、JR、地下鉄の三種類の電車を乗りついで学校に通う。入学間もなく、初めて一人でドキドキしながら三本の電車に乗って無事に登校し、ほっとした日の事は今でも覚えている。その日以来、時間通りに出発し安全に乗客を運び、より便利に車内がリニューアルされていく都心の電車をすごいと思い、電車への興味がどんどん増していった。
例えば車内設備。車イスやベビーカーの置ける「フリースペース」が全車両にできた。四種類の外国語や所要時間の細かい情報を映し出すモニター、コンセントやWi―Fiのとう載など、最近は乗客にとっての利便性がより追求されている。車内防犯カメラや規定速度超過時には自動ブレーキがかかるなどの安全性もアップされ、又、山手線最後尾の行先表示器に映る季節の花や、丸ノ内線連結ドアに描かれた各駅のモチーフ画など、楽しさのあるこったデザインも素敵だなぁと思う。
このような電車の魅力を日々肌で感じるうちに、乗客の安全と便利さを考えぬいた電車を作る「力」になってみたい、鉄道を設計する仕事、「鉄道設計士」になりたい、という思いが強くなった。特に老若男女、障害のある人、すべての人に居心地の良い車両設計や、乗客の心を和ませるような細部のデザイン、環境を考えたバッテリー電車を全国に普及させる開発にも取り組んでみたいと思っている。
そのためには車両の仕組みについて、努力しながら膨大な知識をもつ必要がある。今はまず、機械工学を基礎から学べる大学に入ることが目標。卒業後は鉄道車両メーカーに入り、ひとつひとつしっかりと経験を積みながら設計に携わっていきたい。夢はいつか、自分が担当した電車に、不安なく笑顔で乗っている人々の姿を見ること。そしていつか自分の知識と技術を生かし、外国の電車設計にも参加してみたい。それがその先の大きな夢。
個人賞
高学年の部 最優秀賞
夢を実現するために
福島 須賀川市立大森小学校 6年 太田 璃莉花
「あれはオリオン座だよ。」
もう日の暮れてしまった空を見て、お父さんが教えてくれた。無数に広がる宝石のような星たち。その中でひときわ輝く三連星。初めて星座について知ったとき、心がわくわくした。その星一つ一つに名前がついていることを知ったとき、いつか私も自分の星を見つけたいと思った。
私の将来の夢は天文学者だ。天文学者とは、天体の観測と計測を行い、新しい現象や法則を発見する仕事だ。この仕事に就くための道を改めて調べてみた。
天文学者になるためには、「博士号」というものを取得しなければならない。博士号を取るのは簡単ではない。高校卒業後は大学の理学部に入り、天文学を学んで卒業する。その後は、大学院だ。博士号を取得するためには論文を書いて博士論文審査会に合格しなければならない。論文が認められて卒業できれば、いよいよ天文学者への道が開ける。国立天文台では助手として働き研究を進めることになるだろう。その研究で成果を出して学者まで上り詰める。そこからさらに研究を続けていつか新しい星を発見するのが私の夢だ。
しかし調べていくうちに、学位以外にも天文学者に必要な能力やものがあることに気づいた。私が特に必要だと思うものは、次の三つだ。
一つは好奇心。天文学者の仕事を続けるためには、複雑で未解明な宇宙に興味を持ち続けることが重要だ。これは地道な観測をもとに、難しい研究を続けていかなければいけないからだ。私は好奇心が強い。天文検定の本を買って勉強をすればするほど知りたいことが増えていく。そんな私に天文学者はぴったりだ。
二つ目は、数値分折能力と文章力だ。研究結果を資料にするときに、データなどをまとめるために必要な力だ。また、外国語で論文を書くために必要な力でもある。私は数字には強いが、文章力に自信がない。国語の授業でも文章を書くのが苦手で、手が止まってしまう。外国語は塾でも学習していて得意なので、まずは日本語の文章をすらすら書けるようにしたい。
三つ目は、たくさんの学費だ。学位をとるまでには、今通っている塾も含めてたくさんのお金が必要なことが分かった。いつか、立派な天文学者になって、家族に恩返しできるように、一生懸命勉強を続けたい。
いつか自分自身の手で新しい星を見つけ出して、名前をつける。私が幼いころから抱いていた夢だ。この夢を実現させるためには、今まで以上に勉強が必要なことも分かった。目の前の一つ一つに真剣に取り組み努力を積み重ねていきたい。今できることに、一生懸命取り組んでいくことが、私の夢へと続く道だから。
第15回 「小学生『夢をかなえる』作文コンクール」受賞者・受賞校一覧
【個人賞】―中・低学年の部―(50音順・敬称略)
・最優秀賞(1点)
秋山 リリカ(東京・筑波大学付属小学校4年)
・優秀賞(10点)
安部 愛禾(茨城・つくば国際大学東風小学校4年)
石原 想真(東京・筑波大学付属小学校4年)
今井 美那子(東京・筑波大学付属小学校3年)
岡本 篤典(徳島・徳島文理小学校4年)
小野 楓(北海道・函館市立赤川小学校4年)
北濵 獅勇(北海道・函館市立赤川小学校4年)
木村 颯汰(東京・筑波大学付属小学校4年)
郡司 早都(徳島・徳島文理小学校4年)
新美 優一(東京・東京農業大学稲花小学校3年)
吉弘 湊(東京・筑波大学附属小学校4年)
・奨励賞(10点)
安島 理芳(北海道・函館市立赤川小学校4年)
池端 伽藍(東京・筑波大学付属小学校4年)
岩崎 陸都(東京・筑波大学付属小学校4年)
片方 アリサ(東京・筑波大学付属小学校4年)
久原 轟大(長崎・精道三川台小学校3年)
今野 優人(東京・筑波大学付属小学校4年)
竹内 佐那(徳島・徳島文理小学校4年)
萩尾 優仁(佐賀・鹿島市立浜小学校2年)
村田 憲信(徳島・徳島文理小学校4年)
吉永 美貴子(Oneness Family School 3年)※米国
【個人賞】―高学年の部―(50音順・敬称略)
・最優秀賞(1点)
太田 璃莉花(福島・須賀川市立大森小学校6年)
・優秀賞(10点)
浅尾 理結(東京・筑波大学付属小学校5年)
小野寺 諒(東京・筑波大学付属小学校5年)
狩野 創大(東京・杉並区立馬橋小学校6年)
木村 日向子(東京・筑波大学付属小学校5年)
丹治 莉緒(福島・福島市立杉妻小学校5年)
土倉 奏乃(埼玉・星野学園小学校6年)
中村 柑那(福島・福島市立杉妻小学校5年)
姫野 凜(宮崎・日之影町立日之影小学校6年)
舟橋 佳世(大阪・大阪教育大学附属天王寺小学校5年)
湯本 千穂(埼玉・星野学園小学校6年)
・奨励賞(10点)
大江 琉聖(東京・筑波大学付属小学校5年)
加藤 愛子(三重・桑名市立長島北部小学校5年)
栗田 依織(福島・福島市立杉妻小学校6年)
齊藤 貫菜(熊本・合志市立西合志南小学校6年)
新谷 桃百果(愛知・名古屋市立北一社小学校6年)
中下 心結(香川・三豊市立比地小学校6年)
野池 花(長野・長野市立城東小学校6年)
萩谷 俐月(東京・筑波大学付属小学校5年)
平下 愛眞(東京・筑波大学付属小学校5年)
松島 清夏(東京・日野市立日野第五小学校6年)
【学校賞】※都道府県別
・最優秀学校賞(1校)
東京・筑波大学附属小学校
・優秀学校賞(10校)
福島・須賀川市立大森小学校
福島・福島市立杉妻小学
埼玉・星野学園小学校
東京・杉並区立馬橋小学校
長野・長野市立城東小学校
愛知・名古屋市立北一社小学校
三重・桑名市立長島北部小学校
大阪・大阪教育大学附属天王寺小学校
徳島・徳島文理小学校
宮崎・日之影町立日之影小学校