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通級指導教室と特別支援教室の指導のアイデア 中学校・高等学校編

14面記事

書評

月森 久江 編著
つまずきやすい点と乗り越え方、豊富に

 「教室で行う特別支援教育」シリーズで平成29年刊行の「通級指導教室と特別支援教室の指導のアイデア 小学校編」に続く一冊。
 管理職の責任と役割を含めた第1章「通級による指導とは」、第2章「通級における学習指導のアイデア」は国語、数学、外国語、自立活動での豊富な指導アイデアを提示した。第3章は限局性学習症(SLD)、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)ごとの生徒理解と支援の仕方、第4章は「学校生活全体の充実をめざして」で校内での理解、支援に加え、保護者への接し方や支援の仕方、進路の支援などで結んだ。
 中心は第2章。例えば国語では小学校でつまずきやすいところから、文学的文章、説明的な文章などの読解、作文や意見文の書き方、古文、詩歌の指導などに分け、必要とされる力を育成する具体的なアプローチを提案した。
 公立での通級指導数を見ると小学生11万6518人に比べ、中学生(1万6711人)、高校生(732人)は少ない(令和元年度『通級による指導実施状況調査』)。通級指導教室の少なさや、思春期の難しさなどから通級を選択することをためらうため、ともいわれる。
 問題なのは、通級指導を受けずに「静かに困っている生徒」への配慮だ。「通級における学習指導のアイデア」は通級での指導にとどまらず、通常授業を担当する教員が学んでおきたいアイデアでもある。
(2860円 図書文化社)
(矢)

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