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教育フォーラム69 基礎・基本に立ち返る

16面記事

書評

梶田 叡一 責任編集
日本人間教育学会 編
最重要課題への焦点化を検討

 時代の進展とともに学校教育に要求され、期待されるものがますます増大している。教育内容は著しく過密となり、各学校が直面する課題は山積し、まさに教育多事である。その一方で、「働き方改革」が叫ばれる。このまま進めば学校教育は空洞化するか、学校現場は疲弊するばかりである。そうした危機意識の下、不易の課題、基礎・基本に焦点化した取り組みを願って本書は編まれた。
 巻頭論文で梶田叡一氏は、「学校教育の基礎・基本とは何か」と題し、学校教育の基本任務として「自己を生きる力と社会を生きる力の双方の育成」を提示。その上で、教育内容の基礎・基本として「読み・書き・タブレット」、授業展開の基礎・基本として「中核目標と基礎目標、前提目標と発展目標」を挙げつつその取り組み手順を示し、メリハリの利いた授業が進むよう期待を込めている。
 これを受けて各研究実践者がそれぞれの立場から、言葉の力、読書や国語授業、数の操作と図形の学び、自然に親しむことで育つ感性、日本人の感性・教養と伝統文化、生涯学習、幼児教育、特別支援教育に求められる基礎・基本の絞り込みを提示している。
 限られた事例の提示にとどまるが、これらを参考に、優先的に取り組む課題、いつの時代にも変わらず教育が果たさねばならない不易の課題、本質的な事柄について、いま一度立ち止まって考えてみる必要があろう。
(2640円 金子書房)
(規)

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