「合意形成スキル、誰もが習得可能」主権者教育などパネル討議
13面記事新聞協会
日本新聞協会は2月26日、「主権者教育のこれからとNIEの可能性」を主題としたパネル討議をオンライン形式で開催した。3人のパネリストのうち、関西学院大学准教授の鈴木謙介さん(理論社会学)は、政治への関心とは別に、合意形成のために必要なスキルと経験が必要だと訴えるとともに、そうしたスキルは「誰にでも持たせることができる移転可能なものだ」などと説明した。
パネリストは他に、元高校教員の藤井剛さん(明治大学特任教授)、中央大学1年生の小泉のの花さんが務めた。
小泉さんは、「政治と若者のキョリ」を近づけることを目標に、中学校、高校での出張授業などを行っている学生団体の「ivote」で副代表を担当している。
小泉さんは、この活動について、「私たちの授業は年に1回、2時間程度、(伝えたいことを)伝え切れないことが一番の課題」などと話した。
藤井さんは、主権者教育について、18歳の有権者の投票率は高いことを紹介した上で、「きちんとした主権者教育があれば、投票行動に結び付く。放っておいてはいけない」などと訴えた。
司会を務めた関口修司さん(元小学校教員、日本新聞協会NIEコーディネーター)は、教え子にエール大学助教授の成田悠輔さんがおり、小学校5、6年生の頃、新聞を読ませた経験を紹介。「新聞の可能性を感じている」「NIEで少しは育った事実を受け止めてもらいたい」などと話した。
映像による情報発信が盛んな中、新聞という活字メディアを活用する意義について鈴木さんは、「文字のメディアは複眼で見ることができる」「映像演出が盛んな今だからこそ、文字を通じた複眼的思考は教育現場でしか身に付かない」などと応じた。