浅野　英樹　著
指導術、行事運営など65のコツ伝授

　学級経営に役立つ貴重な本が刊行された。
　著者は、日々子どもたちと向き合っている公立小学校教員で、著書・共書も多い。
　「子どもとの良好な信頼関係の構築が第一」ということを、学級経営における自分の軸とし、行動指針としている。
　確かに、子ども・保護者との信頼関係があれば、学校で起こる問題の多くは、解決できるのではないかと思われる。
　では、どうやって信頼関係を築くか。そのコツを指南してくれるのが本書である。
　「苦いエピソード」と語る著者の経験を踏まえ、子ども・保護者との信頼関係を築くためのさまざまな指導・実践が紹介されている。
　１～３章が、「子どもと信頼関係を築く教師のスタンス、指導術、学級づくり」、４～５章は、「保護者と信頼関係を築く基本姿勢、行事や取り組み」である。
　見開き２ページずつ、全部で６５の指針や取り組み等が記されている。どれも説得力があり、納得できる。
　例えば、「指導するときは、そうすることのよさや価値を考えさせよう」では、「やりなさい、こうしなさい」だけでは子どもに響かないことや、「考えさせる指導の例」を具体的に例示していて、よく分かる。
　要所に表れる著者の優れた子ども観、教育観が、本書の価値を一層高めている。
（２０９０円　明治図書出版）
（谷　智子・高知大学客員教授）