小・中5%超で教員不足 臨時任用もなり手減少
1面記事文科省調査
本年度の始業日時点に全国の公立小・中学校の1586校(5・6%)で2086人の教員不足が生じていることが、文科省の調査で分かった。産休・育休取得者や病気休職者、特別支援学級が教育委員会の見込みよりも多かったことなどが主な要因だった。臨時的任用教員のなり手も減っており、小学校では管理職が学級担任を代替するなどのケースが367校あった。
調査は教師不足の実態を把握するため、教員を任命する都道府県と政令指定都市など68の教育委員会に実施。始業日と5月1日時点の欠員状況などを調べた。
欠員は5月1日時点には改善されていたものの、依然1350校(4・8%)で1701人が不足していた。また、高校では122校160人、特別支援学校は121校206人の不足だった(5月1日時点)。
小学校で本来の教員以外が学級担任をしているのは367校、そのうち特別支援学級に不足が生じているのは72校だった。「主幹教諭・指導教諭・教務主任」が代わりを担ったのが205校、「校長・副校長」が代替したのが53校だった。
中学・高校には教科ごとの不足状況を調べた。最多は「家庭科」で中学校は8校、高校では国語と並び2校だった。
アンケートで教員不足の要因も尋ねている。「よくあてはまる」が多かったのは「産休・育休取得者の増加」(24教委)、「特別支援学級数の増加」(17教委)、「病休者の増加」(16教委)で、他の選択肢に比べ、突出していた。
これまで教師不足の穴を埋めてきた臨時的任用教員のなり手も減少していた。「講師登録を希望する人が減った」とする質問に「よくあてはまる」と答えたのは38教委、「正規採用者が増えて講師登録の対象者が減った」には32教委が「よくあてはまる」と答えていた。
令和3年度の教員採用試験で、小学校の採用倍率は全国平均で2・6倍と過去最低を更新した。教員の「質と量」の確保は、昨年度から始まった小学校の35人学級化を円滑に進める上でも教育現場の喫緊の課題となっている。同省教育人材政策課の担当者は「教育委員会には教職の魅力を高める取り組みと教員の計画的採用、任期付き教員の確保に努めてほしい。長期的な課題への対応は今後、中央教育審議会で検討していきたい」と話す。