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新型コロナの感染予防対策として小中学校26校にビッグファンを導入

16面記事

施設特集

印西市の小中学校体育館に設置された「BF―75V」

千葉県・印西市教育委員会

大型扇風機で「換気の悪い密閉空間」を改善する
 印西市教育委員会では20年8月、市内の小中学校26校に2~4台ずつ計59台の大型扇風機(「BF―75V」・株式会社ナカトミ)を導入した。学務課の海老原康人氏は「設置場所は主に体育館になり、新型コロナ感染防止対策となる換気が目的になります」と話す。
 もともと学校における大型扇風機の導入は、年々厳しさを増す猛暑の熱中症対策として進められてきた経緯がある。風通しが悪い体育館のような広い空間にこもった熱を外に逃がすには、大風量で送風距離の長い大型扇風機が適しているからだ。
 それが現在では、新型コロナ感染症を予防するための「換気の悪い密閉空間」を改善する方法として、全国の多くの学校で導入されるようになっている。特にデルタ株の蔓延以降は、空中を漂うエアロゾルと呼ばれる「空気感染」の可能性があることが指摘されたからで、児童・生徒が密集する体育館では、より一層こまめな換気が重要になるからにほかならない。
 しかも、学校の体育館は地域の避難所も担うことから、「災害時に使用することも想定しています」と語るように、有事に備えた防災機能の強化にもつながるのだ。

機能や安全性などを考慮して選定
 こうした中、羽根径75cmのビッグファン「BF―75V」を採用した理由については「学校向けに発行しているカタログから、機能や安全性などを考慮して選定しました」と振り返る。その言葉通り、機能面では風量・風向き角度の調節ができるとともに、何よりも単相100V電源で、ハイパワーにもかかわらず既存のコンセントで使用できる点が、大きな魅力となっている。
 また、安全面でもモーターが異常発熱すると自動的に停止するサーマルプロテクター(復帰式過熱保護装置)を内蔵し、学校現場が安心して使えるよう配慮されている。
 なお、近年は自治体によって学校体育館の空調設置も進んでいるが、換気機能を併設していないケースも多く、エアコンを稼働している場合でも室内の空気を送風・換気させることは必要になる。

児童・生徒が集まる場所で積極的に活用
 設置後の使い方としては、体育館でのスポーツ活動や行事を行うときはもちろん、「キャスター付きで移動が容易なため、授業参観時に入り口や廊下などの換気対策で活用しました。また、夏場に閉め切りの体育館の熱を逃がす際にも利用しています」と語る。新型コロナの感染予防となる3密回避を主眼に、今後も児童・生徒が集まる場所では積極的に活用していくことを呼びかけている。
 同市では、ほかにも新型コロナ感染防止対策として、大型提示装置や簡易実物投影機、ハンズフリー拡声器の導入、水栓レバーの交換などを実施している。その中で、今回の大型扇風機を導入した財源は「令和2年度学校保健特別対策事業費補助金(2分の1補助)を活用した。
 「市の一般財源のみでコロナ対策費を捻出することは大きな負担となるため、今後も継続した国の補助金交付に期待しています」と海老原氏。今また感染力の強いオミクロン株による感染が広がる中で、子どもの健康や学びを保障するためのさらなる支援が必要といえる。

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