幼・保両方の免許取得を大学通信教育で
13面記事 文科省は、幼児教育現場における質の高い人材の定着や、キャリアステージに合わせた資質の向上にも動き出している。こうした背景には、養成校生の多くが他業種へ就職、平均勤続年数が短い、離職者の再就職が少ないといった課題があるからで、養成校からの採用の強化や、再就職・転職による採用の促進に取り組む意向だ。
その上で、質の高い人材の定着に向けては、二種免許状保有者が多い幼稚園教諭・保育教諭への上位免許状の取得機会を拡大するため、大学・教育委員会による免許法認定講習の開設を進めている。
また、幼稚園と保育所機能を併せ持った「幼保連携型認定こども園」の役割が年々重要になっている。保育時間を延ばすことで幼稚園の減少傾向を食い止め、保育所不足を解消することにつながるからだ。しかも、近年の多様化する保育ニーズに応える教育面での強化を図ることで、小学校へのスムーズな接続を実現するといったねらいもある。
足りない単位を取得できる
一方で、「幼保連携型認定こども園」では「幼稚園教諭免許状」と「保育士資格」の両方の免許・資格を持つことが原則になっているが、現状では多くの職員が片方の免許・資格しか取得していないことが課題になっている。
そのため、改正認定こども園法では24年度末までの猶予期間を設けて取得を促すとともに、3年かつ4320時間以上の勤務経験者には8単位を取得すれば、所持していない免許状が取れるように特例が設けられている。大学通信教育では、こうした単位取得についても受け入れており、免許取得を後押ししているところだ。
求人として考えてみても、今や全国で6千を超えた「幼保連携型認定こども園」のニーズは歴然だ。逆に幼稚園教諭は今後ますます厳しい局面を迎えることになる。自身のキャリアを活かすため、働きやすい環境を獲得する上でも、幼・保両方の免許を取得することは大きなメリットがある。