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ピア・フィードバック ICTも活用した生徒主体の学び方

19面記事

書評

スター・サックシュタイン 著
田中 理紗・山本 佐江・吉田 新一郎 訳
相互評価で高め合う米国の手法

 GIGAスクール構想により、全ての生徒(児童も含む)がオンラインで大量の情報を得たり交流したりして学習できるようになった。授業の在り方や教師の役割も変わらなければならない時代を迎えている。
 学校では、スピーチや新聞・リポートなどの成果物に対して教師や他の生徒からコメントなどをフィードバックすることが行われている。しかし、形式的・抽象的だったり教師の負担が増えたりすることもある。
 本書は、生徒のフィードバックの力を高め、生徒同士がフィードバックし合う方が、学びと発達を促進すると提案する。そして、建設的で相手を思いやるフィードバックを引き出すためには、生徒同士がサポートし合うクラスづくりが必要で、そのモデルは教師自身であること、生徒の強みと弱みを把握しグループを育成すること、明確な学習目標と目標達成の基準をつくること、教師の役割が重要なことなどが具体的な事例に触れながら紹介されている。
 翻訳本特有の言い回しやカタカナ用語も多く登場し、日本とは異なる教室文化や授業展開、ICT活用のレベルが必要となるが、わが国が目指す「学習者主体」で「対話的な学び」づくりへの刺激が得られる。また、脚注に登場する「翻訳協力者からのコメント」も興味深い指摘があり、本書を参考にして挑戦する教師を期待したい。
(2200円 新評論)
(大澤 正子・元公立小学校校長)

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