小・中学生の体力低下 肥満率は増加、男子で顕著
3面記事スポーツ庁調査
スポーツ庁は昨年12月24日、令和3年度の全国体力・運動能力調査の結果を公表した。体力調査の合計点は令和元年度に比べ、小・中学生の男女共に低下し、肥満割合が増加していた。同庁ではコロナ禍による運動時間の減少やテレビ・スマートフォンの視聴時間が伸びたことが影響しているとみている。昨年度の調査は新型コロナウイルスの影響で参加校が少なかったため、結果は「参考値」として示していた。
調査は、全国の小学5年生と中学2年生を対象にして昨年4~7月に実施した。
全8種目の実技テストのうち「上体起こし」「反復横とび」「20メートルシャトルラン」「持久走」(中学生のみ)で大きく低下した。
「上体起こし」は小学生の男子の平均が18・9回(令和元年度19・8回)、女子は18・1回(同19・0回)、中学生の男子は25・9回(同26・9回)、女子は22・2回(同23・6回)だった。
「持久走」では、男子が1500メートルを407・2秒(同400・0秒)、女子が1000メートルを298・3秒(同290・6秒)と低下していた。
調査は実技テストの結果を10点満点で換算し、合計80点満点で評価を示しているが、小・中学生の男女共に上位の生徒の割合が減って下位の割合が増えていた。
中学校の女子では令和元年度の50・0点から48・4点に下がっていた。
肥満の割合も前回から大幅に増加した。男子が顕著で小学生は13・1%(同11・1%)、中学生は10・0%(同8・6%)で、小学生男女と中学生男子の肥満率は過去最大だった。
こうした結果の背景には、コロナ禍で体育の授業以外に運動時間が減ったことや、テレビ・スマホの視聴時間が伸び、運動の機会が減ったことがあるとみられる。
体育の授業を除く1週間の運動時間は男女共に短くなった。男子は小学生が47・8分(同51・4分)、中学生では77・6分(同82・1分)だった。
学習以外のテレビやスマホの1日の視聴時間は2時間以上の割合が小・中学生の男女共に増えていた。視聴時間が長時間になるほど、体力の合計点が低下する傾向が見られたという。
スポーツ庁の担当者は「社会のデジタル化は今後も避けられない。学校と家庭・地域が一体となって運動やスポーツの楽しさを感じてもらえるような働き掛けが必要だ」としている。