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スクールカウンセリングのこれから

14面記事

書評

石隈 利紀・家近 早苗 著
「苦戦」する子をチームで援助

 スクールカウンセリングについて解説する1章から5章に続く、各パートは校内での援助の在り方を簡潔にまとめ、実際的だ。
 例えば「子どもの援助ニーズに応じて」(9~12章)には「3段階の心理教育的援助サービス」を示す。全ての子どもの発達促進的援助を目指す「1次的援助サービス」、自分の置かれた状況に「苦戦」する子どもを支える「2次的援助サービス」、特定のニーズへの対応が求められる「3次的援助サービス」、それぞれの内容と留意点が分かる。
 段階的な援助サービスと、カウンセリングの体制づくり(4章)で掲げた個別の援助チーム、コーディネーション委員会、マネジメント委員会の「3層の援助チームシステム」を有機的に組み合わせると、その子どもにとって必要な援助の道筋も見えてくる。
 「援助するスキルを磨いて」(13~18章)には個の力を底上げするだけでなく、チームとしての援助力を高める技法も紹介した。
 不登校、いじめ、非行、発達障害などのケースを取り上げた「子どもの苦戦に応じて」(19~23章)、保護者や地域も視野に入れた「チーム学校で」(24~27章)も含め、支援側の教師の誇りを尊重しつつ子ども援助につなげる考え方、多様な価値観を持つ保護者への寄り添い方も読み取れる。章末ごとの「考えてみよう」は、援助者が持つ「指導観」「子ども観」などを揺さぶり、内省を促す。
(1760円 創元社)
(矢)

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