子どもの聞く力、行動する力を育てる!指示の技術
14面記事土居 正博 著
子どもの自立を目指して
本書の「おわりに」で著者は、<「指示を通して子どもの自立を目指す」・これが本書に貫かれたテーマです>と書いていた。
授業は発問、指示、説明で構成される指導言で展開される。ところが教師は、発問にばかり関心を向けてしまう。本書を読むと発問の工夫の前に、指示の技術を上げなければ、授業力が向上しないことが分かるだろう。
指示の技術の向上は、授業づくりのためにだけあるのではない。学級づくりにも大きな影響を与える。次の指示の提案に評者は、思わずうなってしまった。
<指示には「動かす指示」と「考え自ら動く指示」がある>
指示待ちというような言葉で、指示という言葉にマイナスイメージを持ちやすい。しかし「考え自ら動く指示」となると、旧態依然とした指示のイメージはかすんでしまう。それだけ本書の主張にはインパクトがある。
第3章の「子どもが『動く』指示―考える力、行動する力を育てる」では、子ども自身に気づかせたり考えさせたりしながら自主的に動けるようになる提案が示され、これからの学校教育の大いなる可能性を感じた。
本書は、評者が半世紀の間に読んできた教育書の中で紛れもなく問題提起に満ちた画期的な一冊である。本書をよく読まれて、教師力アップの一助にしていただきたい。
(2090円 学陽書房)
(庭野 三省・新潟県十日町市教育委員会教育委員)