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読んで旅する、日本と世界の色とりどりの教育

14面記事

書評

武田 緑 著
多様性尊重する民主的な学び

 著者は、大学生の時の地球一周の船旅で多様な背景を持つ人々と濃密な学びの時間を経験し、自分の持っている「当たり前」や自分が受けてきた教育への疑問を抱くようになる。
 そして、国内外の多種多様な教育現場を訪ね、教育を見つめ直す視察ツアーを開始。各地を訪れ、子どもたちが主体となって活動する姿や多様性を尊重する教育などを目の当たりにする。
 本書では国内の八つの教育現場とオランダやタイなど海外7カ国で見聞し、感じ、考えたことを写真とともに紹介。中には日本の学校制度の中で運営されている一条校もある。
 著者は自分が共鳴した教育に共通するのは、

 ・教育の目的は「Well―being」と「Democracy」
 ・今ここと、将来が幸せであること
 ・自分づくりが第一
 ・ホンモノとつながって、ホンモノから学ぶ
 ・他者との関わりの中で違いから学ぶ

 ―などと整理。民主的な学びを日本中に広めたいと、そのイメージも図示し、既存の学校が変わっていくことを期待している。
 各学校には、多様な背景や特性を持つ子どもたちが在籍しており、全ての子どもが安心して生活できる環境づくりが急がれている。新型コロナウイルス感染対策により、学校が踏襲してきたことを問い直す動きが生じており、本書に収められた「色とりどりの」学びの姿から、学校や教育を変えていくヒントが見つかるものと思う。
(1980円 教育開発研究所)
(大澤 正子・元公立小学校校長)

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