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「共創の時代」の教育制度論 幼児教育・保育から生涯学習まで

14面記事

書評

星野 敦子 編著
桶田 ゆかり・近藤 有紀子 著
基本原理、最新動向も押さえる

 日本は今、「分断」が大きな問題となっている。民間と行政の分断。若者と高齢者の分断。地方と大都市との分断。さまざまな分断が人間関係・コミュニティーを弱体化させ、多くの問題を引き起こしている。そのような現代に今必要なことは「共創」という発想である。本書では、子どもたちにどのような資質を身に付けさせたいか、どのような人材を育成し、どのような社会を創っていきたいか、という願いを共有し、共に明るい未来を創っていきたいという思いで執筆されている。
 「はじめに」で、「すべての方に最初に読んでいただきたいのは、第10章、社会に開かれた学校・保育所」とあるので、素直にそこから読み始めた。本章では、幼稚園や学校・家庭・地域との「連携」について言及され、「共創」への思いに触れた。また、インフォーマルな活動とフォーマルな「制度」を「共創」でつないでいる。
 「教育制度」とは教育に関わるさまざまな「制度」であり、基本的に「法律」で定められている。しかし、時代によって大きく変化してきていることも見逃してはいけない。教育行政制度や幼児教育・保育制度などの基本原理を中心にしつつも最新の動向を押さえる本書は、幼児教育・保育を学ぶ学生はもとより、図書館司書や社会教育主事を目指す人にとっても心強い書となるであろう。
(2310円 学文社)
(青木 一・信州大学学術研究院准教授)

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