メンドリと赤いてぶくろ
12面記事安東 みきえ 作
村尾 亘 絵
最初に登場するのは、手編みの赤い手袋。左右の手袋は仲が悪く、持ち主の「ゆうちゃん」が右利きであることから、右の手袋は自分の方が偉いと言う。
その時、強い風が吹き、右の手袋は飛ばされてしまった。落ちた先はメンドリの群れの中。若い一羽のメンドリはオンドリのように大きな声で鳴きたいと思い、トサカの上に手袋を載せる。メンドリは池に行き、自分の姿を眺め、形だけまねする滑稽さを実感する。
取り残された右の手袋は、ゆうちゃんを思い出し、その手を守れなくなったことを後悔、立派なつもりでいたことを反省する。
次の朝、ふいに持ち上げられ、ゆうちゃんの手に戻る。でも、戻った先は左の手。小さな子にとって左右はどうでもよいことだった。
「ありのまま」の大切さを感じられる物語。
(1650円 KADOKAWA)
(Tel0570・002・301)