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今だから明かす条例制定秘話

14面記事

書評

川崎市子どもの権利条例施行20周年記念出版
かわさき子どもの権利フォーラム 編
子ども参加の徹底的議論など紹介

 川崎市が、全国に先駆けて市独自の子どもの権利条例を制定したのは2000(平成12)年。本書は、条例制定20周年を記念して開かれたパネルディスカッションの記録などをまとめたものである。
 京浜工業地帯の中核都市として発展した川崎市。1980年代に金属バット殺人事件や小学校での体罰死事件が起こり、他方で、子ども議会の開催などの活動も行われていた。
 1994(平成6)年に、日本が国連の子どもの権利条約を批准し、90年代末には、当時の市長が、条例制定を公約に掲げ、次の市長もまたその方針を受け継いだ。ただし、こうした大状況だけで、条例制定が実現できたわけではない。
 子どもの声を徹底的に聴くとともに、生活の権利主体としての子どもを尊重する。このような姿勢は、条例制定に関わった市職員、教員、地域住民に共通したものであった。2年ほどにも及んだ準備過程では、子どもと大人が、互いの立場を認めつつ、徹底的に議論し、制度的な保障の確立を志向した。このことも、条例制定にとって大変重要な役割を果たした。
 画期的な条例であるが、3年ごとに実施する検証調査では、条例の存在が子どもには十分に浸透し切っていない厳しい現実も示されている。条例が、その真価を発揮するには、さらに大きな活動が求められているといえよう。その可能性の実現を大いに期待したい。
(1540円 エイデル研究所)
(都筑 学・中央大学教授)

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