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小学校高学年 発達障害が映す子どもたち

14面記事

書評

シリーズ・症例が語る「発達障害」(3)
崎濱 盛三 著
思春期の特性踏まえた支援へ

 「発達障害」という言葉は一般的になった。しかし、自閉スペクトラム症の理解の難しさに悩む保護者や学校関係者は少なくない。
 子どもの実態をつかむため受ける検査。精神科医である著者は、「下位検査の評価点のばらつきを『発達のデコボコ』と称し発達障害と考えること」について、いまだにある「『発達検査』の誤解」だという。第一章「発達検査って何?~支援や診断への大きなヒントを見る」で、その有効性について理解したい。
 自閉スペクトラム症の中心問題は、「言葉」と「強迫(自分ではコントロールするのが難しい衝動行為)」。それは生来的、持続的。その姿は発達の段階や環境などの要因によりさまざまな形で現れ、高学年からは外から分かりにくい考え方の“こだわり”が加わるという。
 「発達障害を透して」子どもたちのことが新たに浮き彫りになればという著者の思いは、200ページにわたる第三章「症例集」からも伝わってくる。高学年27の症例、その子の現在と具体的な対応は、子どもの成長を支援する人々に考える視点を与えてくれる。
 小学校高学年は身体に急激な変化が起きる時期。医師として多くの子どもと向き合ってきた著者の「高学年での身体のSOSの奥に潜んでいるものが何かを考えてほしい」という言葉を受け止め、子どもたちのためにできることは何かを考えたい。
(2860円 ミネルヴァ書房)
(伊藤 敏子・仙台市教育局学びの連携推進室専門員)

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