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一刀両断 実践者の視点から【第106回】

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盗撮の再発を容認した判決

 《「内申点を加算」とだまし女子生徒10人の着替え盗撮、元中学教諭に執行猶予付き判決》(読売新聞オンライン)という見出しの記事が出された。こうした幼稚な事を考えるのだから言葉にならない。明らかにおかしな話なのに、なぜ生徒がそれに乗ったのか、また、同僚とはどのような関係だったのか、不思議でならない。
 この事態が起こった県では様々な方法を駆使して不祥事防止を講じているが、現場には届いていない事になる。
 理性や道徳心そして倫理観を持ち合わせず、欲望に負ける行為である。自分の権限を使っているのだから悪質であり、そこに執行猶予を与えることが再発を容認する事になってしまう。現実に馴染まない法律は改正すべきであり、近年起きている事件には追い付いていない事がこの判決からも明らかではないだろうか。
 それにしても、周りが気付かなかったこともおかしい。生徒や親御さんからすぐに漏れてしまうはずなのにそうならなかったのは何故なのか。
 こうした実際に起きた事案を周知して再発防止を進める必要がある。ただし、欲望と幼稚な心情に流される人物は必ず同じような行為を繰り返す。教師は生徒の健全な成長を願い追い風を送る存在であり、欲望の捌け口にするような非道の輩が生まれた要因について生育から養成までを分析して、その傾向を洗い出し、検査を定期的にする必要があるのではないだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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