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静かな子どもも大切にする 内向的な人の最高の力を引き出す

16面記事

書評

クリスィー・ロマノ・アラビト 著
古賀 洋一・山崎 めぐみ・吉田 新一郎 訳
教室環境や関係づくりなど紹介

 座学に加えて、自ら動き学習するアクティブ・ラーニングが推奨される今日の学校教育の中で、積極的な発言や行動が推奨されている。授業中に自ら手を挙げて質問したり、発言したりすることも重視される。このような外向的な子どもは、意欲的に学んでいるのだと、多くの教師は思っていることだろう。
 それでは、授業中に静かに黙って教師の話を聞いている内向的な子どもは、何も学んでいないのだろうか。そうした問いに対して、本書は真正面から答えている。端的に言えば、その答えは「ノー」である。物静かで、クラスメートとの交流にも積極的でない子どもであっても、豊穣な内面世界を持ち、思索を重ね、多くのことを学んでいるのである。
 内向的で静かな子どもが自分の持っている本来の力を発揮するには、学校環境の改善が求められる。教師自身も、静かな子どもが持っている鋭い観察力や深い洞察を生かし、教室内で他の子どもと共有するような授業を展開していくことが求められる。
 本書には、ICTの活用や教室の環境整備、子どもたちの関係づくりなど、さまざまな具体策が紹介されている。著者自身が内向的な子どもだったという体験と教師としての豊富な経験によって、本書の内容はより説得的なものになっている。子どもを見る視点の転換が、教室での豊かな学びを導いていくのだ。
(2640円 新評論)
(都筑 学・中央大学教授)

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