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自分の<ことば>をつくる あなたにしか語れないことを表現する技術

16面記事

書評

細川 英雄 著
自己と向き合い3ステップで

 魅力的な題名に引かれ本書を手にした。教室でも「自分の言葉で表現しなさい」というせりふを耳にする。さて、自分の言葉とは何か。自分の言葉で表現する方法は。そもそも何のために。著者は語る。「あなたでなければできないことを表現するということ」、それは「あなたという存在の生きる意味を追求すること」と。
 本書は「自分の中にあることばをどのようにして自覚するかということ」と「そのことばをどのようにして他者に伝えることばにするか」をポイントとして3章に分け解説している。読み進めながらステップを踏んで挑戦してみた。正直難しい。教育書と哲学書を同時に読み進める感覚。知らないうちに他者からの評価を意識している自分がいて、思ったことを感じたままに表現する自由を意外と失っていることに気付く。著者の言う「鳥になる自由」な感覚と「<私>をくぐらせ、自分事として問題を捉えるための自己対話」が浅薄だった。自分の言葉で語ることの深さを知り、同時にその考え方に引き込まれもした。
 自分の言葉で表現するために、テーマを決めることから始まり、最終的にはリポートを完成し相互評価を行う過程がつぶさに論述されている。その過程を「千葉くんのつぶやき」として実在の高校生の姿を紹介。書くことから逃げていた千葉くんの変容が興味深い。ぜひ、ご一読を。
(1100円 ディスカヴァー・トゥエンティワン)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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