子どもを支援する教育の心理学
16面記事村上 香奈・山崎 浩一 編著
現場で生かす視点や具体的手法
教室には多様な背景や特性を持つ子どもが在籍するようになった。どの教師も正しい知識を持ち、多様性を受け入れ、適切な支援ができるようになりたい。
本書は、教職課程コアカリキュラムの「教育心理学」「教育相談」に対応したテキストとして作られ、3部構成となっている。
第I部は「児童・生徒を理解するためのまなざし―心理学の基礎知識」。乳幼児期からの子どもの発達や主な心理学研究を紹介しており、専門用語の解説も端的にされている。各章の最後に「子どもを理解するためのまなざし」の項があり、現役教師も指導を振り返りながら熟読してほしい内容となっている。
第II部は「児童・生徒を支援するための気づきと関わり―SOSを見逃さないために」。子どもたちのいじめ・非行、不登校、虐待、発達障害、精神障害・心身症を取り上げ、基礎的な知識や考え方を述べている。教室には、教師が気付かないだけで、苦戦している子どもがいるかもしれない。
第III部は「児童・生徒を支援するための具体的な方法―日常生活で心理学を活用する」。
執筆陣は臨床心理士など心の専門家で、いろいろなケースを担当しており、丁寧に解説している。最も学ぶべきは、その「構え」。本書は、研究者と教育現場の実践をつなぐもの。子どもに関わる多くの人に読んでもらいたい。
(2750円 ミネルヴァ書房)
(大澤 正子・元公立小学校校長)