学校における感染症対策予算、コロナ禍で進むトイレの自動水栓化
15面記事感染症対策備品の購入費を中心に消毒作業の外注も
これまでの文科省による新型コロナウイルス等感染症対策としては、20年度第2次補正予算で、学校規模によって1校あたり100~300万円となる感染症対策備品の購入費を補助。続く20年度第3次補正予算では300億円を追加。ここでは保健衛生用品等の購入費に加え、コロナ禍に対応するための教職員研修等の経費、特別支援学校のスクールバスにおける感染リスクの低減を図る取り組みに必要な経費も補助した。
さらに、今年度も学校における感染症対策の充実のため169億円を計上。学校における感染症対策専門家派遣事業や、学校等欠席者・感染症情報システムと統合型校務支援システムとの連携事業を盛り込んでいる。 また、幼稚園・認定こども園施設の感染症対策予算としても、20年度第1~3次補正予算で合計104億円を投入。今年度も1園あたり30~50万円の手当てとなる200億円をかけて対策に充てている。これらの予算は保健衛生用品の購入に加え、教室等の消毒作業を外注する経費にも活用できる。
なお、対象校種は国公私立の小中高等学校と特別支援学校で、補助率は公立・私立が2分の1、国立は100%となる。
来年度の感染症対策予算は事項要求に
こうした中、文科省における来年度の概算要求では、各学校において感染症対策を徹底する上で継続的に必要となる消毒液や保健衛生用品等の整備に関わる予算は、現段階で金額を明示しない「事項要求」となっている。今夏の流行ではデルタ株によって子どもへの感染が増えている状況からも、より一層感染拡大を防止するための予算の拡充が望まれるところであり、各自治体の独自の予算計上を含めて動向が注目される。
手洗いの非接触化で感染予防
一方、学校では新型コロナウイルス感染症対策として、トイレの手洗い場で自動水栓化が急速に進んでいることが、TOTOなどトイレ関連6社による研究活動組織「学校のトイレ研究会」が昨年度に実施した全国自治体アンケートの調査結果から明らかになった。
それによると、学校で感染症対策として実施している項目はトイレの洋式化が87%と最も多いことに加えて、非接触で使える手洗いの「自動水栓」化が前年調査に比べ、+18ポイントの53%に上っていることが分かった。しかも、今後、学校トイレにおける自動水栓化が感染症対策で有効と考えている自治体は80%と、関心の高さがうかがえる結果になっている。
こうした自動水栓化が進む理由としては、かざした手をセンサーが感知して水を出すため、他の子どもが触れた蛇口をひねる必要がなく、感染予防につながるからだ。
学校向け出荷台数が急増、入荷待ちも
すでに神戸市は、市内にある約300の幼稚園や小・中・高校を対象に、屋内の手洗い場を自動水栓化。大分市は今年度の予算で、市立保育所、幼稚園、小中学校の手洗い場4千カ所を自動水栓に改修する事業を計画している。東京都内でも、目黒区や港区などの学校で改修が進められているなど、コロナ禍で自動水栓の学校向け出荷台数が急増しており、各地で入荷待ちといった状況もめずらしくなくなっている。
おりしも学校施設のトイレの洋式化改修が進められる中で、併せて改修する自治体が増えていることがうかがえる。とはいえ、未改修の学校では7割以上が手で接触し操作が必要なハンドル水栓を使用しているのが実態であり、当面はトイレ改修時の重点ポイントになりそうだ。