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SDGsと防災教育 持続可能な社会をつくるための自然理解

18面記事

書評

藤岡 達也 著
自然の脅威・恩恵、過去の災害を解説

 最近は、日本のみならず世界各地で、豪雨や暴風、干ばつなど異常気象で生命が危険にさらされることが頻発している。本書は、SDGsの17のゴール、169のターゲットの中から防災に関わる項目を取り出して説明。気候変動に対する国際的な取り組みは急がれており、わが国にとっても重要な課題である。
 地震・津波で大きな犠牲を出した大川小の訴訟では、「校長らには児童の安全確保のため、地域住民よりもはるかに高いレベルの防災知識や経験が必要」であり、過失があったと指摘。学校現場の責任が問われる厳しい判決となった。
 学校関係者は、この教訓を重く受け止め、地震はもとより学区に潜在する洪水や土砂災害、噴火などのリスクを知り、自然現象が自然災害とならないよう常に危機管理マニュアルを見直すなど事前防災に取り組み、安全上の義務を果たしていかなければならない。そのためには、さまざまな自然現象・自然災害に関する知識を豊かにする必要がある。
 著者は、自然の神秘性や空間・時間のスケールの広大・長大さを実感できるようになれば、それが災害につながることが理解できるとし、自然の恩恵とともに、過去の災害の実例を取り上げて解説している。
 防災・減災や自然環境理解の具体的な実践も紹介されているので、自校の教育活動を見直す参考となるだろう。
(2200円 大修館書店)
(大澤 正子・元公立小学校校長)

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