近藤昭一さん

　本書「実践　教職論」は生徒指導の専門家として知られ、中・高校の校長、教育センター所長などを経て、大学教授になった近藤昭一さんがまとめた教職課程のテキスト。学校現場での経験を踏まえて今後の教師の在り方を論じており、管理職や現職の教員にも参考になる。
　著者は、学校社会の中だけにいると、教職の社会的な使命や目標を忘れ、矮小化していくことがあると指摘。本来の目的を再確認し、人格性を基盤に、副題にある「未来の創り手となる子どもたちのため」に生きる教師を目指す上で必要な情報を盛り込んだ。国家・社会と学校教育の関係や求められる力量についての構造的な説明に加え、全１２章のうちの後半４章は主に学校経営の中で教師が当事者として果たすべき役割を丁寧に解説。組織の一員という自覚を持つ必要性を多面的に論じている。
　教育に携わる全ての層に深い学びを与えてくれる一冊だ。
　定価は２６４０円。
　問い合わせ＝ナカニシヤ出版　Tel０７５・７２３・０１１１