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一刀両断 実践者の視点から【第94回】

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国公立大学の授業料が安い理由

 国公立大学の授業料を半額にするという政策を掲げる政党がある。ニュースを見て違和感を持った。国公立大学の授業料は私立に比べて格安となっている。その理由と繋がっていないからである。若者の浮動票をねらった策略であることは明確であるが、こうした響きのよい主張が実現できなかったらどう責任を取るのか。
 国公立大学の学費が安い理由は、学生がやがて国や地域に貢献することが期待されるからである。この一点なくして安くする必要はない。では、実際にそうなっているだろうか。困窮学生を本気で支援するのなら、バイトをせずとも勉学に集中でき社会貢献にも多くの時間を当てられるような抜本的な改革を打ち出して欲しかった。そこまで踏み込まないのは何故か、反対があったからと逃げ道を作っているようにも感じられる。
 それよりも大学の授業改革をすべきではないだろうか、そこには触れない施策に強い違和感が残る。青年はこうした響きのよい政治のパフォーマンスが、本物か否かをしっかりと見破らねばならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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