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一刀両断 実践者の視点から【第90回】

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論説・コラム

理性のコントロールを教えない時代に

 背後から近づき、スカートをめくりあげて尻を触った疑いで、29歳の高校教師が逮捕された。明らかに病気に近いと分かる犯行である。
 採用されて何年かははっきりしないが、この要因をどう見るか。これだけ大胆な行為をするとなると常習であることも推測される。写真の表情からは病気のように見て取れる。
 教師間の繋がりは、車通勤が増え、コロナ禍になり益々希薄になっている。酒でも飲みながら愚痴を聞き、恋愛相談や性の悩みまで相談したことが以前にはあった。すなわち仲間が近くにいたのである。今は、採用される前の大学時代でも仲間がいないという現実があると言われる。
 人間社会が孤立を傍観し、情感と理性のコントロールを教えてはいない。大学でも教えない。採用試験でもそこは測れない。そして教師になっても学べないのだから、こうした欲望のコントロールを失い暴走する事も想定できる事ではないだろうか。
 この犯罪をおかした青年も犠牲者のように思えてならない。可能ならば、この後の対処に注目しつつ、この青年の人生を追いかけて、やがては猛省の後に大成して欲しい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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