一刀両断 実践者の視点から【第84回】
NEWS「熱湯」による虐待と死
大阪府摂津市の男児死亡事件で、3歳の子どもの命が熱湯をかけるという残虐な行為で失われた事実をどのように受け止めればよいか。
危険性を把握していた行政の怠慢に弁明の余地はないだろう。加害者の言葉の言うことをそのまま認めるならば、担当者の専門性は何の役にもたってはいない事になる。事務的に処理するにとどまり、「仕方なかった」で済ませることになる。
今回の事件では警察の動きがあまり見られないようである。担当職員や判断した専門家を徹底して分析するべきである。ミスの要因を見つけておかなければ、同じことがまた起きてしまう。
加害者の異常性や生育も分析して明らかにしておく必要がある。3歳という年齢の子どもは活発に動きまわりもするし、泣きもする。これを受け止められないのに一緒に生活するとなると、邪魔な存在としか考えられなくなる事も想定できる。
親になり、子どもとかかわり、家庭を切り盛りするための準備の教育はどの段階でも受けていない。
今回の事件は残忍であり、そうなることが分かっていても行為を続けたのだから、よほどの怒りが蓄積され分別の出来ない状況に追い込まれていたことが想定される。専門家ならば、常に最悪を想定して対処するのがプロの仕事であるだろうが、それが出来なかった理由を私なら徹底して突き詰めて問題を浮き彫りにする。
来世は必ず幸せにと合掌したい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)