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PTA寄贈品 変わるもの、変わらないもの

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企画特集

私立学校以外でも高額化の傾向に
 卒業する児童生徒を持つPTAから学校に寄贈される記念品の予算は、学校規模により10万~30万円程度となっている。それでも教育熱心な保護者の多い私立学校を中心に記念品の高額化が広がっており、最近では小中一貫校や新設校などの公立校にも波及している。
 代表的な例としては、従来の記念碑やレリーフに代わって、プロジェクターやプリンター、軽印刷機、デジタル顕微鏡をはじめとする理科実験器具、拡声器、スピーカーシステムなどの音響製品といった、授業や学校生活の中で使える実用品が選ばれる傾向にある。
 なかでも、PTAの寄贈品として根強い人気を誇っているのが、黒板掲示物や児童生徒の作品、廊下などに掲示する学校行事の案内や注意事項など、拡大用途が多い学校現場ならではのポスタープリンターや、熱中症対策として多人数が利用しても冷たい水が供給できる冷水機だ。これらは学校が避難所となった場合も、情報伝達や飲料提供として重宝できる魅力がある。

GIGAスクールに対応した新しいICT機器も
 さらに、「GIGAスクール構想」で1人1台端末が整備されたことにより、利活用の幅を広げる各種周辺機器はもちろん、タブレット用のタッチペン、タブレットPC充電保管庫、プログラミング教材やロボット、3Dプリンタといった新しいICT機器や、グループ学習用テーブル、パネル板などの学校家具も検討されるようになっている。
 なぜなら、新学習指導要領が目指す「主体的・対話的で深い学び」を実現するためにはアクティブ・ラーニング型の授業スタイルへの転換が求められているが、学校の環境整備が追いついていない現状があるからにほかならない。また、その意味では特別支援教育の授業効果を高めるコミュニケーションボードや家具、学習教材ツールなども足りていないことから、採用する学校も多くなっている。

学校活動で、なくてはならない備品
 そうした中で、時代が移っても変わらぬ人気を誇っているのが、屋外テントや朝礼台、ひな段セット、紅白幕、暗幕、講演台、校旗、花瓶、講堂用PAシステムなどの式典・行事用品だ。また、体育の授業で使う卓球台やサッカーゴール、ハードル、ラインビークル、スポーツタイマーも必ず候補に挙がるアイテムとなっている。
 こうした学校の活動でなくてはならない備品は、経年劣化するため定期的に購入する必要がある。しかし、学校の限られた予算の中では思うように買い替えできない事情があり、学校側の要望に応えて寄贈するケースが続いている。
とりわけ、サッカーゴールや防球ネットは強風や管理不良によって毎年のように転倒事故を起こしており、今年5月には文科省から全国の学校に安全点検を実施するよう通知が出されている。同様の事故の再発防止や学校環境の安全確保に万全を期すためにも、定期的な買い替えは不可欠といえる。
 そのほか、備品関係では月行事予定板や白板、自動紙折機、断裁機、収納棚、特別支援教育用品なども卒業記念品として実績のある商品だ。

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