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地震による非構造部材の落下事故を防ぐ

15面記事

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体育館では空調機器やバスケットゴールなどの落下による事故も

老朽化改修の速やかな実施が安全対策に直結する

天井だけでなく、外壁や窓ガラス、家具などの対策も
 近年の大規模な地震では、天井材など「非構造部材」の落下や転倒物による重大な人的被害が発生している。このため文科省は学校設置者に対し、非構造部材の錆やひび割れなどの劣化状況や部材の取り付け工法などの確認を行い、早期の改善を図るよう求めている。
 「非構造部材」とは、天井材や外壁、内壁のほか、窓・ガラス、照明器具、収納棚、図書館の本棚、昇降口の下駄箱といったようなものも含まれる。また、屋内運動場でいえば、壁に設置された配管・空調などの設備機器、バスケットゴール、ピアノなども対象となる。なぜなら、これまでの非構造部材による被害には、頭上への落下や家具の転倒による直接的な人的被害のほか、避難経路の通行阻害やガス・油の漏れによる出火の二次災害があるからだ。
 とりわけ、天井や外壁、内壁、窓・ガラスなど、高所で面積が大きく重いものや、破損時に鋭利になるものは、落下等により生命に危険を及ぼす可能性がある。東日本大震災では体育館や教室などの天井が落下した学校が2千件に及び、窓ガラスの破損や外壁・内装のボード破損・脱落やクラックなどの被害が数多く生じた。
 加えて、書棚、ロッカー、書類保管庫、テレビ、コンピュータなどの転倒・落下も相次いだことから、転倒防止対策はもちろん、高所に重量があるものを置いていないかなど日常的な使い方を確認することが必要だ。

事故を未然に防ぐ教職員による安全点検
 一方、その後に起きた熊本地震では学校施設の耐震化が図られたことにより、最大震度7の地震が2回も発生したにもかかわらず、倒壊・崩壊に至る大きな被害が起きずに済んでいる。
 また、吊り天井の撤去も大半の学校で進んでいたことから人的な重大事故は防げたが、モルタル性の外壁や古い構法の窓が落下する事故が多くあり、避難所としての使用ができなかった地域も発生するといった課題を残した。
 このように熊本地震では、古い構法や経年劣化が進んでいる建物で被害が顕著であったことから、老朽化改修の速やかな実施が安全対策に直結すると考えられる。同時に、避難所としての機能確保のためには、電気・ガス・上下水道等の設備の老朽化対策や継続使用を可能にする対策が不可欠といえる。
 したがって、校舎等の建物を管理する学校設置者は、非構造部材の耐震点検に係る方針や実施計画等を策定し、優先度を踏まえて可能なものから順次実施していくことが求められる。その上で、非構造部材の中には経年による劣化等の影響を受けるものもあるため、これらについては継続的に点検を実施することが必要であり、それには教職員も日々活動する中で施設・設備の点検を心がけ、不具合を見つけていくことが重要になる。
 たとえば毎学期1回以上、児童生徒等が使用する施設・設備及び防火、防災、防犯に関する設備などについて、教職員全員が組織的に実施する。加えて、運動会や体育祭、学芸会や文化祭、展覧会などの学校行事の前後や、暴風雨、地震、近隣での火災などの災害時には、必ず臨時で安全点検を実施することを計画しておきたい。

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