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一刀両断 実践者の視点から【第72回】

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同窓会で見える人生模様

 気になっていた子どもは卒業しても忘れられないものである。障害がある。親を亡くした。借金で逃げ回る。不仲の親。祖父母が育てる。そうして不登校になることがある。不遇だった子どもはいつまでも気になる。
 同窓会では、人生模様が様々に見えてくるものである。「やっぱり」「何で」「すごいな」と評してしまう。
 「やっぱり」は、善きにつけ悪しきにつけ、幼いときに予兆があったということであり、想定できたという今である。
 「何で」は、あんなに素敵だったのに?あれほど困らせたのに?想定外の姿になっていたということである。
 「すごいな」は、想定外の姿であり、これは驚かされる今の姿である。すなわちあの時の延長ではなく、その後に何かが起きたであろうと思われるからである。
 先般、50年ぶりの高校同窓会があった。新設校の第一期生がそれなりに歳を重ねて集ったのである。俺達の学年で優秀な奴っていたのかな?と、誰かが呟いた。すぐさま大学教授が居るじゃないかと、誰かが話した。それが自分の事とは思えなかった。何せ36人中36番でほぼすべてが赤点で補習ばかりで進級もやっとだからである。
 それにしても授業がつまらなかった。どんどん取り残されていったことを思い出すからだ。これが私が教師を志した理由なのだろうと今更ながら自分を納得させている。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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