一刀両断 実践者の視点から【第71回】
NEWS夏休み明けの不登校と自殺を防ぐには
不登校と自殺が増えるといわれる新学期を迎えた。子どもの変化を教師はどのように受け止め対処すればよいだろうか。私は8月30日位に届くよう葉書を送っていた。新学期への期待に満ちた子どももいるが、すべてがそうではないからである。宿題を終わらせられるか不安な子どもには、お盆過ぎから連絡してサポートする工夫をしてきた。
何でそこまでするのかと言われれば、私もされたら嬉しかったからである。宿題の是非については論議があるが、本来ならば自らやりたいものをやれるように支援したいと考えてきた。そのため、共通の宿題は出さないようにしてきた。自学自習の習慣が出来ていない子どもに、さらに負荷を掛ける事はよい結果にならない。
宿題に追われるという苦しさよりも、「2学期は頑張れそうだ」と思えるような出会いでありたい。よって不安な子どもにはお盆過ぎから手を打つのである。このような配慮により、不登校や自殺の増加は抑えられる。予期、予測して手を打つのである。それをしないで、後悔し、言い訳するようではプロの教師とは言えない。そのような労力は事が起きてからの対応に比べればはるかに簡単である。
ある中学生が始業式の朝、自宅のマンションから飛び降りて死亡した。遺書はない。いじめアンケートにも記載はなかった。だから、いじめは無かったと教委も第三者委員会も結論を出した。私は教育長に質問した。それは本当か、アンケートにも書けない状況があったのではないか、何故なら始業式の朝に飛び降りるのは合点がいかないと。教育長ははぐらかして去っていった。あの表情は今も忘れはしない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)