情報機器、進んだ授業活用 子どもの期待も高く 全国学力調査結果
1面記事 本年度の全国学力・学習状況調査の結果が8月31日、公表された。教科調査の正答率は、小学校の国語が64・9%(令和元年度64・0%)、算数は70・3%(同66・7%)、中学校は国語が64・9%(同73・2%)、数学が57・5%(同60・3%)だった。質問紙調査からは、授業での情報機器の利用機会が増えており、子どもたちからの期待も高い様子が浮かんだ。
昨年度は新型コロナウイルスの感染拡大で中止したため、2年ぶりの実施となった。学校休業で学習が遅れた児童・生徒に配慮し、時期を例年より1カ月遅らせた。全体集計から除外される後日実施校が小学校103校、中学校184校あった。
小学校の国語では、説明的な文章を読み、分かったことをまとめる問題の正答率が34・6%と低かった。資料で提示された文章と図表を基に面ファスナーの開発と仕組みを50~80字で説明する記述問題だった。
算数では、速さと距離から時間を求める式を書く問題の正答率が85・2%と高かったのに対し、複数の帯グラフを比べて割合の違いが最も大きかったものを答える問題が52・2%だった。
中学校の国語では、文学的な文章で、登場人物の言動の意味を考え、文中から該当部分を抜き出す問題などの正答率は高かったが、敬語を適切に使うことに課題が見られた。「行く」を敬語に直し、敬語の種類を尊敬語、謙譲語、丁寧語から答える問題の正答率が40・9%だった。
数学では、砂時計の砂の重さと落ちるまでの時間との関係を示した表とグラフを見て、特定の時間を計るための砂の重さを答える問題が28・2%と正答率が低かった。
質問紙調査からは、授業での情報機器の使用機会が増えている傾向が浮かんできた。
前年度までに受けた授業の情報端末の利用頻度について、小学校の児童生徒質問紙では「ほぼ毎日」が11・4%(平成31年度10・4%)、「週1回以上」が29・0%(同20・3%)。中学校では「ほぼ毎日」が7・9%(同7・2%)、「週1回以上」が26・5%(同24・2%)だった。
また、情報機器の利用を巡り、他の友達と意見を交換したり、調べたりするために、どの程度使用しているかを新たに聞くと、小学校は「ほぼ毎日」「週1回以上」を合わせて39・3%、中学校は35・4%だった。
子どもたちの情報機器の利用への期待が高いことも明らかになった。「情報機器を使うことが勉強の役に立つと思うか」について「役に立つと思う」は小学校が66・1%、中学校が60・6%、「どちらかといえば役に立つと思う」はそれぞれ28・4%、32・6%だった。