堂前　直人　編著
教師修業スタートへの道しるべに

　教育実習の場に臨もうとする学生と、受け入れる指導者に向け、「未来の教育を担う若者が、教育界へ第一歩目を踏み入れる大切な大切な出会いの場」になるよう願いを込めて書かれた一冊。編著者は、東海地区でTOSS（Teacher’s　Organization　of　Skill　Sharing）の学習サークルの一つを主宰する。
　実習先の学校への「挨拶文の書き方」から始まる「基本のキ・準備編＝教育実習の心構え」、養護教諭、栄養教諭志望者も含めた「教育実習生の１日はこう進んでいく」を第I・第II章に配し、短期間での子どもとの信頼関係をつくるコツや、学習指導案の書き方、授業を成功させる１４のポイントなどを第III章から第V章に収めた。また、指導教諭、大学教授、管理職、先輩教諭それぞれから教育実習生のどこが見られているか（第VI章）、授業名人たちが教育実習にどう取り組んできたか（第Ⅶ章）なども掲載した。
　特に、短期間で信頼を築くポイントや、分かる授業の原則などをちりばめた各章の解説は、教育技術の法則化運動を前身とするTOSSの面目躍如といったところだろうか。
　教育実習に行く前に、こうしたスキルや考え方が理解できれば、実習生としては「パーフェクト」だろうが、終わりなき教師修業のスタートラインに向けた第一歩にすぎず、連綿と続く教職への本気度を問う道しるべともなろう。
（２０９０円　学芸みらい社）
（矢）