一刀両断 実践者の視点から【第58回】
NEWS「教師の資質」を整理するならば
文科省は、教員に求められる資質・能力を「学習指導」や「生徒指導」など五つに整理し、それに沿って教師の育成指標の基になる大臣指針や大学の教職課程を見直す考えを明らかにした。
言うまでもないが、この対応の遅さにすべてがある気がしてならない。ここで示す育成指標は時代を反映している点ではよいとしても、今の大学教授陣の意識と認識で実効性のある学びになるだろうかとまず疑問を呈したい。表札を掲げるだけにならないか。現段階では期待するものとは言えない。
ならば、こうした内容に軽重をつけて自治体毎に取り組ませる裁量権を持たせる工夫がほしい。地域性も教育環境もかなり異なるからである。
制約をつけて報告をさせるという旧態のやり方から脱却出来なければ、またまた事務量を増やすだけの愚策になる。
どのように研修したり育成したりするのか、是非とも期待を越えるすなわち教員が喜んで楽しく取り組みたい内容として例示できるか、各委員の知恵と努力に期待したい。危惧するのはいつも裏切られ負担感ばかりが学校現場にのし掛かってくる愚かさからは、またかというため息しかでない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)