シリーズ・人間教育の探究(5)
浅田　匡・河村　美穂　編著
専門性と教師教育の在り方追究

　人間教育の探究シリーズ第５巻は、人間教育を実現する教師の専門性と、その専門性を高める教師教育の在り方を改めて考え直そうとしたものである。
　第I部「教え育むことを追究する」では、教師の仕事と教えること：激動期の教職、ケアリングと教えること、学級を経営する：学びの集団をつくる、教えることを学ぶ‥反省的実践家になるとは、教師の生涯発達と師道‥教師のライフコースを考える―の柱で、マクロな視点から教師の仕事を点検し、その教師の仕事を進めていく上で必要な資質能力を検討する。
　第II部「教師を育てる」では、教師になるために：教員養成を考える、教師を育てる校内研修、教師を育てるメンタリング、教師が自己成長できるために：アクション・リサーチャーを育てる―を骨子に、教員養成段階、現職教育における教師を育てるシステムについて論じつつ提案を行っている。
　エピローグ「師道を追究する教師であるために」の中で浅田氏は、教師の熟達化を「学び続ける教師」と捉え、「教えること」を専門とする教師に最も求められることは、「学び」の専門家であること、そしてその学びは子どもとの学び、教師同士での学び、あるいは教育センター等における学校外の他者からの学びなど、一人一人の教師を取り巻く環境によって、その学びは成立していることを改めて認識する必要があると訴えている。
（３３００円　ミネルヴァ書房）
（郎）