給食施設の空調設置やドライ化を
17面記事食中毒の防止や熱中症対策として
昨年の夏は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う臨時休業の余波を受けて夏休みが短縮。その分、例年よりも気温が高い時期まで給食を提供した学校が数多くあった。こうした中、全国的にはいまだ空調が設置されていない給食調理場もあるため、食中毒の防止や調理員の熱中症対策として、急きょスポットクーラーや大型扇風機、クールベストを導入した自治体が見られるなど、あらためて給食施設の環境改善がクローズアップされることとなった。
学校給食衛生管理基準においては、「ドライシステムを導入するよう努めること」、調理場は「温度は25度以下、湿度は80%以下に保つよう努めること」としており、今年度の公立学校施設整備に関わる予算の中でも、給食施設の空調整備やドライシステム化が含まれている。しかし、給食調理場の乾式導入率は、単独調理場で32%、共同調理場で53%。空調設置率は、単独調理場で67%、共同調理場で77%にとどまっているとともに、3割前後の府県もあるなど地域格差もあるのが現状だ。
ドライ化と併せて空調の設置を
ドライシステムは、調理機器から床に水を落とさない構造とすることで、床を常に乾いた状態とし、調理場内の湿気を少なくすることで細菌の繁殖を防止するとともに、水はねによる二次感染を防止することができる。ただし、衛生面から細かく区分されているため、調理の際の熱がこもりやすく、調理員の労働環境が悪化しやすいことから、空調を併せて設置することが必須になっている。昨年度、千葉市では自校方式でかつドライ方式を採用している学校の空調設置を進めているほか、四日市市でも来年度に空調を整備することを決めている。
このような給食調理場の衛生管理の充実強化に必要な補助制度としては、学校給食施設整備事業があり、新増築で3分の1、改築は2分の1が手当てされる。この中には自家発電機も含まれており、災害時にも有効活用できる、都市ガスとプロパンガスの2WAY化などを進める自治体もある。文科省としては、今後も学校給食施設の整備に係る支援制度の充実や予算の確保に努め、給食調理場の改善に取り組んでいく意向だ。