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体育館の熱中症&換気対策として全小中学校に大型送風機を4台ずつ導入

15面記事

施設特集

小中学校の体育館に導入された大型送風機

熊本市教育委員会

 風通しが悪く高温多湿になりがちな体育館は、夏場は熱中症の危険性が高まるとともに、コロナ禍においては換気に気を配る必要がある。その対策として、多くの学校に急ピッチで導入されているのが大型送風機だ。熊本市教育委員会も昨年8月、全小中学校138校の体育館に4台ずつ(分校は2台)合計550台を導入した。そこで、学校教育部の石加浩二指導課長に、導入したねらいやこれまでの活用状況について聞いた。

機能に加え、迅速な供給体制が決め手に
 「普通教室にはエアコンは整備済ですが、児童生徒が体育の授業や部活動で利用する体育館には冷房設備がありません。夏の間は気温の上昇に加えて蒸し暑さも高まり、窓や扉を開放しても厳しい環境にあることから、換気対策と併用できる大型送風機を導入することにしました」。
 財源は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止策として国が緊急的な措置を決めた補助を活用。7月から、既存のコンセントが使用できる単相100V電源、大風量で広範囲への送風ができること、移動がしやすいキャスター付きなどを入札の要件に検討を始めた。その中で、「2学期が始まるまでに納入できる供給体制が決め手になり、ナカトミ製の75cm羽根のビッグファンを採用しました」と振り返る。
 同製品はこうした要件に沿うとともに、上下方向の風向きの角度や風量の調節が可能、モーターが異常発熱すると自動的に停止する「サーマルプロテクター」(復帰式過熱保護装置)を内蔵し、安全面にも配慮されている。

どこでも移動できる使い勝手のよさを生かし、屋外での使用など臨機応変に活用
 設置後は、各校ですぐに活用。「4台ある機器を使って四方から風を送ることで、熱のこもりやすい体育館でも効率よく空気を循環させることができる。まだ猛暑が残る中で、学校からは熱中症や換気対策として役立ったと聞いています」と評価した。
 また、持ち運びができる長所を生かして武道場などに移動して使ったケースがあったのはもちろん、体育祭の練習時に屋外まで延長コードを延ばして活用した学校もあった。さらには昨年の豪雨では、避難所を開設した学校の換気対策として重宝するなど、防災機能の強化にも貢献したという。
 こうした実績から、今年の夏に向けては本格的な活用が期待されているところだが、すでに梅雨の時期から積極的に使っている学校が多いとのこと。「たとえば大型送風機には避けられない騒音も、体育の授業ではマイクを使うなど、それぞれの学校が工夫をして活用するようになっています。そうした点でも、昨年一度使った経験値が生きてくると思っています」と石加指導課長。
 近年、同市でもますます猛暑が厳しくなる中で、学校現場では暑さ対策と同時に新型コロナの感染拡大を防ぐ換気対策も併せて講じていく必要がある。そのどちらにも対応できるのが、大型送風機の最大の利点だ。安全・安心な教育環境の確保の一つとして、ぜひ有意義に活用してほしい。

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