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「第4次食育推進基本計画」の目標 学校給食における地場産物を活用した取り組み等を増やす

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 国が2006(平成18)年度より実施している「食育推進基本計画」。今年度新たに第4次計画が開始した。また、文科省が補助事業「学校給食地場産物使用促進事業」を立ち上げた。第4次計画や学校給食での地場産物を活用した取り組みについて、文科省 初等中等教育局健康教育・食育課の齊藤るみ学校給食調査官に聞いた。


齊藤 るみ 学校給食調査官

 「食育推進基本計画」とは、2005年に制定された食育基本法に基づき、食育の推進に関する施策についての基本的な方針や食育推進の目標等を定めるもので、5年ごとに作成しています。
 今年度より始まった第4次食育推進基本計画では、国際的な取り組みになっている国連のSDGsの視点のほか、国民の健康や食を取り巻く環境の変化、社会のデジタル化など食育をめぐる状況を踏まえ、基本的な方針を設定し総合的に推進しています。計画期間を2021年度からおおむね5年間として、食育を国民運動として推進するための定量的な目標を掲げています。
 実際に、第4次計画が第3次とどこが違うかというと単純に比較できないと思っています。今の重点課題は何かということで第4次計画では、3つ重点事項が掲げられています。

 第1に「生涯を通じた心身の健康を支える食育の推進(国民の健康の視点)」。
 第2に「持続可能な食を支える食育の推進(社会・環境・文化の視点)」。
 第3に「『新たな日常』やデジタル化に対応した食育の推進(横断的な視点)」です。

 この重点事項を基に食育推進の16目標と24の目標値が細かに設定されています。第3次計画で目標を達成しなかったものは第4次計画でも引き継ぎ、新たな追加見直しも行われています。今回、追加見直しを行った主な項目は、「栄養バランスに配慮した食生活を実践する国民の増加」「学校給食における地場産物を活用した取組等の増加」「産地や生産者を意識して農林水産物・食品を選ぶ国民の増加」「環境に配慮した農林水産物・食品を選ぶ国民の増加」などです。

栄養教諭の指導回数を評価
 文科省としては特に子どもの食に関わる部分を重要視し、追加見直しがあった項目の中でも「学校給食における地場産物を活用した取組等を増やす」という目標に力を注いでいます。
 今回の見直しで、具体的な目標値に「栄養教諭による地場産物に係る食に関する指導の平均取組回数」が新たに加わりました。現状値9・1回に対し月12回以上という目標値は、地場産物を使って終わりなのではなく、子どもの教育に生かしていくということを踏まえて設定しています。直接指導する、資料を配布する、校内放送など多様な方法を活用しながら指導する視点を入れています。

地場産物使用目標値が金額ベースに
 第4次で引き継いだ目標値「学校給食における地場産物・国産食材を使用する割合」では、目標の視点が変わっています。今までは食品数ベースで何品目中何品目使ったかという割合数値目標でしたが、給食費の中でいくらが地場産かという金額ベースの目標値となりました。また、全国一律の目標値だと各都道府県の状況に差があるので、「現状値よりも維持・向上した都道府県の割合」を90%以上にすることを目標とし、今までと違う観点となっています。
 文科省では、地場産物活用については他にも、「社会的課題に対応するための学校給食の活用事業」に5年ほど取り組んできました。食品の生産・加工・流通等の関係者と連携しつつ、学校給食の実施における業務手順や実施方法等の仕組みを再構築する事業です。地域によって課題は変わってくるものの、地場産物を給食に活用して、文科省としては特に関わる部分である「子どもの教育につなげる」よう取り組んでいます。

補助事業で地場産物使用を促進
 学校給食における地場産物の活用は、子どもたちが身近に実感を持って地域の自然や環境、食文化、産業について理解を深めたり、生産者や生産過程を理解し、食べ物への感謝の気持ちを抱くことができるなど、教育的意義を有するものです。政府の食育推進基本計画においては、15年にわたり学校給食における地場産物の使用割合30%以上を目標に掲げてきましたが、目標が達成できる地域もありますが達成が困難な地域も多く、平均すると達成できない現状があります。
 また学校給食は大量な食材の購入が必要だったり、規格がバラバラだと大量調理に向いていないなどの課題があります。これらの課題を解決するため、「学校給食地場産物使用促進事業」(上図)を今年度新たに立ち上げました。学校側と生産・流通側の調整役として仕組みづくりを担うコーディネーターの配置や関係者による協議会の開催に必要となる経費に対し、国から予算が出ています。
 文科省としては学校給食における地場産物の使用について、

 ・促進するための補助を行い、都道府県・全国における地場産物使用率の上昇につなげる
 ・安定的な生産・供給体制を構築し、地域の食文化や食に係る産業、自然環境の恵沢に対する子どもの理解増進につなげる

 ―という成果を出すべく新たな事業を推進していきます。

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