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教師のための防災学習帳

18面記事

書評

小田 隆史 編著
「自校園ですべきこと」検討へ導く

 書名から二つのことに気付いた。まずは「教師のための」だ。読み終えて、何とも言えない緊張感を覚えた。なぜだろうか。そう、教師たちに伝えたい、分かってほしいという著者たちの思いの強さがにじみ出ているからだ。子どもたちの命を守る、当然の務めなのに、その重要性を改めて考えさせられた。
 次に「学習帳」という表現だ。帳とはノート・帳面を意味する。書籍なのに軽い響き。ウーン。理由は章の構成にあった。各章とも、学習のポイント、本文、学習ドリルという順で執筆されているが、特筆すべきは学習ドリルが「職員会議などで議論してみよう」との注釈付きなのだ。つまり、全職員にぼろぼろになるくらい読まれることを想定しているのであろう。帳の意味がうなずける。
 構成上の利点はこれにとどまらない。本文の構成は

 (1) 総説
 (2) 事例・実践・教訓等に学ぶ
 (3) 自校園ですべきことを考える

 ―となっており、理解を助けるための補説、図版、写真、プリント資料等も充実している。具体的な話し合いがしやすい「学習帳」である。例えば2章は避難訓練についてだが、計画、実施、振り返りに至る過程で「すべきこと」が明確に指摘される。目の覚める思いだ。
 東日本大震災から10年が経過したが、台風、豪雨、噴火等、自然災害は後を絶たない。学校防災の多様化も進む今こそ必要な本書だ。
(2750円 朝倉書店)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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