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地域学校協働のデザインとマネジメント

16面記事

書評

コミュニティ・スクールと地域学校協働本部による学びあい・育ちあい
熊谷 愼之輔・志々田 まなみ・佐々木 保孝・天野 かおり 著
熟議と大人の変容の重要性説く

 平成29年度、コミュニティ・スクールの設置が公立学校で努力義務となり、地域差はあるが年々設置校は増加。子どもたちや学校が直面する課題を地域と連携しながら解決するためには効果的であり、信頼される学校づくりを推進する上でも地域住民の意向が学校運営に反映されることは意義深い。コミュニティ・スクールの制度化と地域学校協働本部の取り組みは確かな成果を得ているが、同時に課題も生まれている。
 本書は、「学校を核とした地域づくり」と「地域とともにある学校づくり」の両輪での改革推進が地域学校協働であり、そのために熟議を重ねること、大人たちも変容し成長することで、よりよい地域社会へと変わっていくと説く。評者は、立場的に学校側からの取り組みを重視しがちだったが、地域学校協働の理念は学校教育、社会教育それぞれの充実と改善によって地域全体の教育や学びの推進体制の構築を進めていくことを改めて学んだ。
 コロナ禍にあって地域学校協働が十分に機能できないことも多々あるだろう。膝を交えた熟議も実施できかねる状態。しかし、積み上げてきた地域学校協働が形骸化しないよう、学校教育と社会教育の垣根を越えて大人と子どもの学びあい・育ちあいを促進したい。地域学校協働がもたらす効果の大きさを学校、地域それぞれの関係者が一緒に学べる一冊である。
(1760円 学文社)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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