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学校ってボクらの力で変わるね 子どもの権利が生きる学校づくり

14面記事

書評

植田 一夫 著
福田 敦志 解説
信頼し主体性を尊重する実践

 本書は、子どもたちを信頼し、主体性を尊重して学校を変えていった実践記録集である。それだけに、大きな特徴がある。実際に使用した手書きのプリント類をそのまま提示していること(約30点もある)、授業記録・会議等の発言記録もそのまま載せていることだ。それ故、説得力に富む。
 おそらく、本書を手にされた読者は、著者の行った実践例の幾つかは、やったことがあるだろう。評者とて、担任時代には運動会の応援歌を児童に作詞作曲させたり、司会進行を任せたりしたことがある。ただ、今考えると、そうしたことで「児童の主体性を尊重した」と悦に入る自分がいただけだった。
 ところが、本書の「実践」は半端ではない。職場の仲間を、保護者を、地域を巻き込む、逆にいえば、子どもたちの実践を広く公に問い掛けることで「学校だけ」のものにとどめていないのだ。子どもたちの力を信じなければ、できることではない。
 一例を挙げよう。5章は「子どもの参加領域の拡大」を取り上げるが、何と学校予算の使途や日課表の時配に子どもの意見を反映させる試みが紹介されている。
 本書の全てを試みることは、地域や学校の事情も異なるので難しいかもしれない。ただ、「子どもを信頼する教師」なら、できることからやってみてはいかがだろうか。
(2420円 高文研)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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