教科書、デジタルも無償に 自民党教育再生調査会が提言を大筋で了承
1面記事会合の冒頭、あいさつする柴山昌彦会長=3日、自民党本部
自民党の教育再生調査会(会長=柴山昌彦・前文科相)は3日、教科書政策を話し合うプロジェクトチームを開き、提言を大筋で了承した。義務教育では、紙とデジタルの両方を無償措置の対象にすることを要望。高校では、どちらを使用するか教育委員会と学校が選べるようにすることを提案した。
提言はデジタル教科書の在り方と、教科書検定・採択の透明性確保など四つの柱についてまとめた。デジタル教科書については「価格が低く抑えられている紙の教科書の適正化を図るべき」(義家弘介・PT主査)として、紙とデジタルのセット価格を設定することも提案した。
デジタル教科書は文科省が本年度から、全国の小・中学校に実証事業で導入している。提言では、本格導入を始める令和6年度まで実証事業を続けられるよう、必要な予算を確保することを求めた。
教科書の検定や採択では、検定プロセスの透明性を高めるため、検定意見や修正内容をデジタル化して公開する。教科書調査官は、採用に公募制を導入した上で、大学と連携して優秀な人を登用できるようにし、任期制を導入する。
義家氏は会合後、「現状は調査官が、どういう基準で採用されたのかが見えない。透明性を持たせた上で、責任を持って検定を行っていただく体制をつくりたい」と話した。
また、検定後に一部の会場で開かれる展示会についても教科書見本をデジタル化し、多くの人が閲覧できるようにすることを求めた。
提言では、特別支援学校で使用されている文科省の著作教科書のデジタル化を進めることなども盛り込んでいる。
文科省教科書課では、教科書見本のデジタル化は著作権の問題が絡むため課題の整理が必要だとした上で、教科書調査官への公募制導入などは今後、検討を始めたいとしている。