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「情報社会における教育」 想定できない社会を生き抜く力

12面記事

書評

石野 正彦 著
付けるべき力と教師の役割とは

 上越教育大学教職大学院が令和元年度に新設した先端教科・領域開発研究コースの新授業科目の一つ「情報社会における教育」を担当した著者が、その授業録を基に執筆した。
 「『情報社会の現状』―私たちは高度情報社会に生きている―」(第1章)や「『情報社会の未来』―教育は社会にコミットできるか―」(第2章)では、高度情報社会で進行する変化、変化がもたらす教育の課題を示す。「『情報社会の子供たち』―10年後に発揮される能力―」(第3章)、「『情報社会の教師』―トーク&チョークの世界からの脱却―」(第4章)では今後求められる能力などを、それぞれ提示した。
 取り上げたトピックは「5G(第5世代移動通信システム)」「個別最適化された学び」「デジタルネイティブ」「ステレオタイプとクリティカル・シンキング」など57に及ぶ。企業人から教師へと転身。管理職、研修センターや教育委員会勤務などを経験。50代前半で大学人となった著者による教育時評の趣もある。
 機器導入に追われた、かつての「コンピュータ教育」が教師に大事な教具としての意識を植え付け、今なお残る「情報教育=コンピュータ教育というステレオタイプの考え方を払拭しなければならない」といった警句は、その一つだ。GIGAスクール構想下、学校に身を置く方たち、これから支える方たちに、先輩の声として耳を傾けてもらいたい。
(1540円 発行 上越教育大学出版会、発売 桐朋)
(矢)

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