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学校再開後の感染症と熱中症対策として、市内の全公立小中学校に大型送風機を導入

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市内小学校の体育館に設置された大型送風機

埼玉県加須市

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、今夏も学校では熱中症予防とともに感染症対策に務めることが求められている。こうした中、埼玉県加須市教育委員会では、昨年8月上~中旬にすべての市立小中学校(30校)に大型送風機を4台ずつ、合計120台導入した。そこで、学校教育課の高橋一也指導主事に導入した目的や活用の効果について話を聞いた。

体育館の四隅から効率的に空気を循環
 「約3カ月にわたった新型コロナ禍の臨時休業から通常の学校生活を再開するにあたっては、感染症対策を徹底しながら児童生徒の学びを保障する体制を構築する必要がありました。そのため、国や県の補助金を活用した整備の1つが、体育館用大型送風機の導入になります」と高橋指導主事。
 風通しの悪い体育館は夏場には高温多湿な環境となるため、窓やドアを開けた上で大型送風機によって風を送ることで、熱中症予防と感染症対策となる飛沫感染を防ぐ換気を同時に行うことができる。「しかも、大風量で送風距離が長い特長を生かし、体育館の四隅に設置することで、広いスペースでも効率的に空気循環させることができます」と各校に4台ずつ導入した意図を説明する。

機能はもちろん、短期間での全校納入が決め手に
 導入したのは、羽根径75cmのビッグファン(株式会社ナカトミ製)だ。「臨時休業中に急きょ導入を決めたこともあり、十分な風量などの機能性に優れ、短期間で全校に納入する台数を確保できることが決め手になりました」と振り返る。
 同製品は、電源工事が不要な単相100V、キャスター付きでどこでも移動が可能、風向き角度や風量も調節できるなど体育館等の広いスペースに適しているのはもちろん、サーマルプロテクター(復帰式過熱保護装置)内蔵で安全面にも配慮されている。
 特に昨年は休業措置後の授業保障で夏休み期間が短くなり、エアコンが整備されていない体育館でのスポーツ活動には例年以上の暑さ対策が必要であったことを考えれば、大型送風機の存在が心強かったはずだ。「私も視察しましたが、思った以上に風量が強く、学校からも配備してくれてよかったという声が聞けました」と指摘。また、学校によっては教室の廊下における換気対策として活用するなどの工夫も見られたという。

クラスターや熱中症事故もなく手応え
 「結果的に、昨年は管轄下でのクラスターの発生や熱中症事故の報告もなかったことから、一定以上の効果があったと思っています」と手応えを語る。
 なお、市では熱中症対策として全児童生徒にネッククーラーを配布。感染症の拡大防止には各校に消毒液購入用予算を配当したほか、大型液晶テレビや非接触型体温計も配備した。今年も感染状況を見据えながら、必要に応じて追加となる対策を講じていく意向だ。

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