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教師1年目の学級経営 担任スキルと広い視野を身につけるために

16面記事

書評

大前 暁政 著
失敗例も示し具体的に解説

 対象は1年目の教員と思いそうだが決してそうではない。中堅の立場にあっても本書から学べることは多く、また若手教員を育てる立場の方にもお薦めだ。
 本書は、5章から成る。第1章「心構え編―『ほめて伸ばす』教師であれ」では、仕事の全体像を俯瞰する視点の必要性を説き、担任に必要な力として「授業力」「学級経営力」「子ども対応力」の3点を取り上げる。教師として足りない力は何か、力を付けるために何をすればいいか俯瞰して考えよう。著者は、教室で起こる事象を基に、プロの教師ならどう対応すべきか述べている。学級経営面での悩みは尽きることはない。その悩みを解決する多くのヒントが得られそう。
 第2章は始業式前の準備編、第3章は学級経営4月の戦略編、第4章は5月以降の戦略編と続く。1年の見通しを持ってステップアップできる。実に考え抜かれた構成と1年目教師に寄り添った充実した内容に感服。例えば、第2章にある「典型的な『失敗例』を知っておく」には、若手教員がやってしまいがちな失敗例を4点示し、なぜ失敗につながるか解説。失敗例を知っておくことで対策が可能となる。若手の先生方には、ぜひ本書を読み俯瞰して教師生活を歩んでほしい。具体的で理論的、かつ実践的な解説で必ず役に立つ。そしてベテラン、管理職の方にも強く推薦する一冊。
(1980円 東洋館出版社)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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